「んで、俺は死神だったっつーわけ?」

一護は飲んでいたコーヒーをガラスのテーブルにコツンと置く。

 

「うん・・・。そういう事。」

織姫は、一護が半信半疑であることを悟った。確かに、こんな話を突然されて、あぁそうですか

と納得がいく人間なんてそうそういるはずがない。

 

「・・・黒崎。信じられないかもしれないけれど・・・。」

 

「・・・まぁ、信じられないね。そんな事、突然言われても。」

一護はちらりと織姫の方を向く。彼女は普段はわけのわからない冗談をいったり、

よくわからない妄想をしたりしているが、頭は悪くない。石田なんて、冗談を言う人柄ではない。

だから、一護はこの話がおそらく本当のことだろうと思った。だけど、いまいち釈然としない。

 

「仮に俺が死神だったとして、なんで記憶を消される事になったんだ?」

 

石田と織姫は、一護が死神だったことは話したが、ルキアと恋人関係にあったことはまだ話していなかった。

 

「・・・それはだな。」

 

石田が口を開いた瞬間、玄関のドアが開く音がした。

 

「すまんな一護、今日は部活が長引いてしまってな・・・。今日は味噌豚だぞ〜〜」

その声の主は勢いよくドアを開けた。ルキアは、リビングの奥にある、白いソファに石田と織姫が座っているのを見た。

 

二人は視線を合わせて、口を開いた。

「・・・こんばんは、お邪魔してるよ、朽木さん。」

 

「こんばんは、朽木さん。」

 

二人はもの柔らしげな顔で言った。

ルキアは客が来ていると知らなかったので、一瞬驚いた。

 

「あ、こんばんは。・・・。一護、客人ならそう言え」

 

「馬鹿、お前玄関見て気付けよ」

 

いつもどおりに憎まれ口を聞くふたりがいる。石田は目を細めた。昔は散々うるさいと思っていた

口ゲンカも、今では懐かしいと感じていた。

織姫も同様に感じていた。ただひとつ違うのは、彼女にとって僕らがもう仲間じゃないという事。

こうやって他人行儀な挨拶をされるのなんて、初めてだ。

 

 

ルキアが帰ってきたので、話の腰が折れてしまった。石田と織姫は顔を見合わせる。

同じ事を考えているようだ。

 

「・・・話はまた今度にしよう。」

「そだね、お邪魔しちゃったね」

 

「おいおい、もういいのかよ!俺が気になるだろ!」

 

石田は、目で一護に訴えた。

 

      朽木さんがいては話ができないだろう!

 

一護は、わかったよ、と溜息をもらし、ふたりを玄関まで見送った。

暗闇のなかでだんだん影が薄くなる。

 

「もう帰られたのか?」

 

一護の後ろで、ルキアがエプロンのまま、しゃもじを片手に後ろに立っていた。

 

「うおぅ!お前いたのか!」

 

「・・・失敬だな。」

 

「小さすぎて見えませんでしたぁ」

一護がふざけておどける。

 

「貴様!今日の晩飯食わせんぞ!」

ルキアはしゃもじをもった手を振りかざす。一護はそれを見て、すまね、と言う。

「さ、中に入るかな。玄関先でごちゃごちゃすんのもアレだしな。」

 

一護は心の中で、石田たちの話の続きを気にしていた。

確かルキアがすべての始まりとか言ってたよなー。こいつが現れて、俺は死神代行をやらなきゃ

いけなくなって。

そんで、ルキアが俺のせいで処刑されそうになって、俺はそれを、えーーっと・・そうるそさえてぃって

とこまで助けに行って・・・。そんで、無事助け出した。とか言ってたな。

俺の性格だったら・・・助けにいく・・。かな。

一護は物思いにふける。

でも、そんな危険をおかしてまで、俺はこいつを助けなきゃなんなかったんだろうか。

俺とこいつの関係。そういえば聞いてなかったな。

だって話によれば、2ヶ月間もこいつは俺の部屋の押入れに住んでたんだろ?

そんで俺は高1だろ?おかしいだろ。だって、仮にも男と女だし。

こいつ、綺麗な顔してるし。

 

 

ちらりとルキアを見る。肌は白いし、体の線は細いし、目は人形みたいにまつげに縁取られてるし。

顔のパーツの一つ一つが人形みたいだ。

 

「・・・なんだ、一護。人の顔をマジマジみおって。気色悪い。」

ルキアは一護の視線に気付き、気味が悪そうに言った。

あたりはルキアの予告どおりに味噌豚の匂いがする。彼女は二品目にポテトサラダを作っているようだ。

小さな白い手が器用に動く。

 

「・・・お前、部活帰りだろ、疲れてないの?」

 

「なんだ、珍しいな、私の体の心配か?大丈夫だ。私は頑丈にできている」

 

ふぅん。一護が一言もらす。頑丈ねぇ。そんなほそっこい体で頑丈ねぇ。

 

「・・・。それに、黒崎のおじ様には、お世話になっているから。ただ飯なんて食えない」

 

「おじ様って、おれの親父じゃん」

 

「そうだが!!・・・ここにきてから、毎日が、ずいぶん楽しいんだ。」

 

「ふぅん。俺も高校の時は楽しかったなぁ。」

 

「先ほどの客人は高校の頃の友人と言ったな?あんな美人の友人がいたとはびっくりだが」

 

「っていうか、石田の事無視かよ。まぁ井上は高校のときからやたらもてたな。なのに結婚してねーみてーだし」

 

「ふぅん。あ、もてたと言えばだな!私ももてるのだぞ!」

 

「はぁ!?」

 

「今日だってな、部活の先輩の言い寄られたのだ!」

 

「・・・へぇ。」

一護は、できあがった夕食を見ながら生半可に返事をした。

もてると言われれば、本当だろうなと思った。さっきも思ったとおり、綺麗だから。

だけど、どうしてだろう。他の男に言い寄られたと言われて、いい気分がしない。

 

「・・・。物好きもいるんだなぁ」

 

「なんだと!」

 

こう、口をきけばきくほど、ありえない感情が自分を支配している事がわかる。

16歳も年下の子供に、抱くにはどうもおかしい感情だ。

世間的にこれを嫉妬と呼ぶのだろう。

 

だけど、認めざるおえない、コレは嫉妬だ。

 

 

こんな感情、前にも経験したことがあるきがする。

 

こんな思い、前にもした事があるきがする。

 

 

いつだ?

 

どんな時だ?

 

俺はううんとうなりながら白いご飯を口にしていた。

そんな時、ルキアが同じく、白飯をたいらげている途中で口を開いた。

 

「・・・・話は戻るがな。私は、本当にお前に感謝しなくてはいけない。あぁ、最初はおじ様だがな。」

 

「・・・?」

 

「一護がいると、世界が明るいんだよ。」

 

ルキアが笑った。今まで、笑うときは、うさぎグッズをもらった時か、綺麗な空を見ている時だけだった。

自分にむけられた笑顔はコレが初めてと言っても過言ではない。

その笑顔と言ったら。なんともまぁ幸せそうで。儚げで。

 

 

 

 

 

俺は、一瞬にして赤面した。だって、その笑顔は自分だけに向けられたプレゼントみたいなものだったから。

 

 

 

 

 

それで、気付いてしまった。いや、もともと気付いていた。なのに。気付かないふりをしていた。

だけど、もう完敗だ。しかたない。だってこんなにも、嫉妬して、笑顔によろこんで。

 

こいつが好きだって。こんなにもこんなにも好きだって。

年齢なんて、どうでもいい。どうでもいい。なにもかも。

こいつの強い所や、ホントは弱い所。意外と気が利く所。いつだって、他人を一番に考えているところ。

すぐ憎まれ口をたたいてしまうような所も、可愛いとさえ思う。

 

こんな顔を見られたくなかったので、猛スピードで飯をたいらげ、自室へ戻った。

ルキアは始終不思議そうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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あとがき。

 

一護が自分の気持ちに気付いたところで終わりです。

なかなか自分の妄想を文字に表すのは難しいですな・・・。でも、ラストはだいたい決めているんで。変えるかどうかなやんでますが・・・。

うぅん・・・。がんばります!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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