目が覚めて初めて見たのは、白い壁だった。すぐに見覚えのある景色だと気付いた。

 

━━━━━ここ、石田くんの病院だ。あたし、運ばれたんだ。

 

あいたた。と言いながら少し体を起こす。窓の外の景色は、もう真っ暗だった。織姫は、ナースコールを押し、石田先生いらっしゃいますか、と尋ねた。コール

の向こう側の看護婦は、ものやわらかに、「少々お待ちください」と言った。

 

 

━━━━あたし、どうしちゃったんだろう。黒崎くんの家に行って、ルキアちゃんと会って………。ぼんやりと考えていると、扉が静かに開いた。

 

 

 

 

 

「井上さん、久しぶり。気分はどうだい?」

石田は柔らかく尋ねる。

 

「石田くん…あたし………」

 

「体に異常はなかったよ。」

石田はカルテを左手に持っている。

 

「あたし………どうして倒れたんだろう。」

石田はすぐそばにあるパイプ椅子に座り込み、織姫を見上げた。

 

「黒崎の家に行って、それで倒れたんだ。」

 

「そう、黒崎くんの家で………ルキアちゃんに会った……」

 

一瞬沈黙が走る。

 

「ねぇ、石田くん、黒崎くんの家にいる、ルキアちゃん。知ってる!?」

織姫は、眉間にシワを寄せながらまるで懇願するように尋ねた。

 

 

「………井上さん」

 

石田は少し目を細め、そして決心したように見上げる。

 

 

「井上さん。これは、信じてくれるか、わからないけど。聞いて欲しい」

 

 

織姫は、石田の真剣な目を見て、静かに頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………その話、本当??」

 

「あぁ」

 

 

石田は過去の事を全て話した。一護が死神だった事。ソウルソサエティにみんなで行った事。藍染との戦い。そして、ルキアの存在。

 

「し、信じられない……」織姫は、細くつぶやいた。

 

石田はため息をつき、話す。

 

「無理もないさ。信じられない話だからね。」

 

「でも、納得がいく。そうでもないとつじつまがあわない……」

 

 

「…………井上さん、お兄さんの形見のヘアピン、持ってるかい?」

 

「へ…もちろん、いつも大事に持ってるよ。最近はさすがにつけないけどね。」

 

織姫は鞄の中からすばやくハンカチにくるまれたそれを取り出した。織姫の青い六個の花びらのヘアピンは、色褪せてはいなかった。

 

「………懐かしいね。それ、君の能力だよ。」

 

「あ、あたしの……??」

 

「そう、名前はシュンシュンリッカ」

 

 

「……シュンシュンリッカ……??」

 

 

そう織姫がつぶやいた瞬間、ヘアピンの花びらが綺麗な青い光を放ち、個々に飛び散る。弧を描いて飛び回るそれは、ゆっくりと織姫の前に下りてきた。

 

 

「うあぁ……!!」

 

「よう!!久しぶりだな。」

マスクをした一匹が声をかけた。

 

「妖精さんだぁ!!空飛ぶ妖精があたしに話かけてる……」

 

「懐かしい事言うな……女。」

 

「椿くん………」

 

 

え、あたし。なんでこの妖精の名前知ってるの……………

 

 

その瞬間、織姫の脳裏に全ての記憶が駆け巡った。まるで電線を通る電気みたいに。

 

「あ……あぁ………!!みんなっ!!みんなっ久しぶり!!」

織姫は涙目になる。今まで一緒に戦ってきた仲間を忘れた自分自身に、織姫は腹が立った。

 

「久しぶり、織姫」

 

「ちきしょう、待たせ過ぎなんだよ」

椿がふて腐れたように吐き捨てる。

 

「ごめんねっ本当にごめん。16年も待たせちゃって!!」

 

椿が老けたな、と言うと、織姫がいやぁだ!!と頬を膨らます。

 

 

 

「思い出したみたいだね。井上さん。」

 

 

「うん、石田くん。ありがとう」

 

織姫は晴れ晴れした笑顔でこたえる。

 

「いやぁ…僕は……」

 

「はやく、黒崎くんも思い出させてあげなきゃね。あたしの能力があれば、思い出すかもしれない。」

 

「そうだね、君の拒絶の能力で、元にもどるかもしれない。あるいは、彼の刀。」

 

「斬月??」

 

「あぁ」

 

「斬月ってどうなっちゃったの?」

 

「恐らく、黒崎自身の霊力が具現化したものだし、彼が死神の力を取り戻さないと………」

 

 

「……そっか。でもあたしが思い出せたんだもん。きっと思い出すよね!」

 

織姫は自分に言い聞かせるように言った。

 

「大丈夫さ。黒崎だもの。」

 

「うん……!!」

 

満面の笑みで話す織姫を見て、石田はほっと胸をなでおろす。

 

「今日はここて寝ていくといい。しばらく安静にしていた方がいいから。」

 

「ありがとう、石田くん。」

じゃあお言葉に甘えて、織姫はにこっと笑うと布団に潜った。

 

 

「………なんかあったらよんでいいよ。それじゃあまた……」

 

石田は静かに病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいなくなった病室で、織姫は布団を頭からかぶった。

………ダメだよ織姫、泣いちゃダメだよ。やっと朽木さんが帰ってきたのに。私の思いがとどかなかったからって………。

 

 

織姫は一人で布団にくるまり、つぶやいた。白い布団が涙でぐしゃぐしゃになる。

 

 

 

 

 

 

病室の外にまですすり声は聞こえていた。石田は黙ってドアの前でそれを聞く。

 

 

………絶対に思い出せ。黒崎………

 

 

真っ白いドアに向かい、石田は一言言いはなった。

 

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あとがき。

ウリュオリも好きですよ。ただ雨竜が不毛な感じもしますが・・・。次は一護、ルキアをからませます!

 

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