黒崎から電話があった時は、いつも平穏な僕でも血相を変えた。

運ばれてきたのが井上さんだったからだ。

 

 

今は、個室のベッドに寝かせている。しかし時折苦しそうに顔を歪め、汗をかいている。

石田は隣に座っている一護を見た。

 

「……黒崎、何があったんだ」

 

「俺はわかんねぇよ。突然井上が来たかと思ったら倒れたからな。」

 

「そうか……別に体に異常はなかったから、ストレスかもしれないし……」

 

「そっか……オマエんとこがそう言うならそうだろうな。」

一護はふうと溜息をひとつ漏らした。

 

「わかった。井上さんはしばらくここで見ておくよ。」

 

「あぁ、よろしく頼むぜ」

君によろしく言われたくない!!そういいかけると一護は丸いパイプ椅子から立ち上がった。

 

「あ、もう5時か。帰らねぇとな。」

腕時計をちらりと見る。

 

「ん??君、先月妹さんが結婚したから一人じゃなかったか??」

 

「それがよ〜〜居候させる事になっちまって。女の子なんだけど。」

 

「へぇ、君にしては珍しいな。許可するなんて」

 

「俺も鬼じゃねぇよ!!……ルキアのヤツまじ煩いんだよ。ったく。」

 

「………ルキア??」

 

石田の頭の中で、あの気の強そうな人物が頭に浮かぶ。

 

「あぁ、外人かと思ったぜ。」

 

「朽木……さん??」

 

オマエなんで苗字しってんの。一護は不思議そうな顔で呟いた。

 

「あ!!いや、ちょっと前に聞いてね。」

 

石田の頭の中で、あの日の出来事がフラッシュバックする。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━15年前。

 

あの日は本当に寒かった。僕たちは、戦いにより、学校を休みすぎた為に、生徒指導室に呼ばれた帰りだった。

 

「みんな進級できて良かったな。」

一護がふあっとあくびをかきながら言う。紺色のマフラーを首に巻いている途中だ。

 

「うむ。一時はどうなるかと思った。」

ルキアも白地にピンクのうさぎのアップリケのついた手袋を片手にはめた。

 

「……全く。僕とした事が、あんなに成績を落とすなんて」

石田はメガネをくいっと上げる。

 

「でも良かったぁ!!みんな元気に進級できて!!クラス、一緒だといいね。」

織姫は満面の笑みで話す。ぐん と背伸びをする。

 

「ム………」

 

 

いつもの5人で学校の廊下を歩く。下駄箱にさしかかる。

 

「一護!!」

大きな声と共に、水色と啓吾が走ってこっちに向かってきた。

 

「やっほ。今日さ、お祝いに帰りどっか寄らない?」

水色が携帯を片手ににこにこしながら言う。

 

「……まじ?」

一護はばつのわるそうに答えた。

 

「おう!!カラオケ行ったりしよーぜ!!一護全然遊んでくれねーんだもん〜〜」

啓吾が体をくねくねしながら話す。気持ち悪ぃ、と一護は眉間にシワを寄せた。

 

「……悪い。今日、用事があってさ。すぐ帰んなきゃならないんだ。」

 

「またぁ!?」

水色が珍しく呆れていた。仕方もない、彼らは戦いが終わるまで一護達とほとん

ど話していなかった。

 

「…すまぬな、小島、浅野。今日はどうしても帰らなければならないんだ。」

 

「どーして朽木さんが謝るんスか?」

 

啓吾は不思議な顔をする。水色はいつもの勘が働いたらしく、ははぁんと一言もらす。

 

「わかったよ。んじゃあ僕ら帰るね。」

 

朽木さんとお幸せにぃ!!水色は啓吾を引っ張ると、ニコニコしながら帰っていった。

 

「ちっちげーよ!!」

一護は顔を真っ赤にして叫んだ。口を尖らせ、まったく。などと呟いている。

 

「……一護似たようなモノではないか。」

 

「んなっ!!」

 

「さっさとしないと総隊長の機嫌を損ねるぞ??」

 

「ヴ………」

 

ルキアはいつもの凛とした声で言い、スタスタと歩いてゆく。

 

━━━━━僕らはそれをぽかんと見ていたんだ。どうやら、正式に朽木さんをこちら側に住まわせる承諾を得るために、

ソウルソサエティと話し合っているという事はなんとなく予想はついた。

 

ちらりと隣の井上さんの顔を見ると、少し悲しそうな顔をしていた。でも仕方ない。井上さんが悲しい顔をするのも嫌だけど、あの二人に割って入れるはず、ない。

だから、少しでも僕が元気にしてあげたいと思った。

 

「……それじゃあね。あたしもここでバイバイする。」

 

「おぅ!!またな!!井上!!」

「あはっバイバイ!!」

 

「俺も……ちょっと寄る所がある……」

 

「おーまたなーチャド!!」

 

「……僕も、失礼するよ。」

 

「あぁ、またな。石田。」

そう朽木さんは言い、朗らかに笑っていた。戦いが終わった後の彼女は、本当に優しい顔をする事が多かった。

 

僕はそれを見て目を細めた。

 

 

冬だったから、4時半なのに夕日はもう沈みかけていた。影がとても長くのびる。

僕は、二人がうまくいくといいな。と柄にもなく思った。そして、先ほど手をふったばかりなのに、後ろを振り返った。

 

そしたら。

 

 

長く伸びた影が、仲良くキスしていた。僕はそれを確認しただけで、それ以上視

線を上に上げなかった。

 

━━━まったく、公共の場で━━

そう思い、眼鏡をくいっと上げると、スタスタと歩き始める。

 

 

真っ赤な夕日が本当に綺麗で、僕は少し歩幅を緩めて歩いた。

 

 

━━━━その夜だった。

 

 

何か違和感を感じた。

 

世界が歪んでいるような、景色が消えるような。

 

不振に思い、窓の外を見ると、父親が勢いよく僕の自室に入ってきた。

 

 

「な……!?」

 

「オマエも気付いたみたいだな。」

 

「何が起きてるんだ!?」

 

「なんでもない。オマエはここから絶対に出るな。」

 

「は!?だから……」

 

「お前には、戦う理由などない」

 

そう言い残すと、素早く、父親は姿を消した。

 

━━━一体、なんなんだ?!確かに虚や、アランカルの感じはしない。

みんなの霊圧は…………以上はない。でも空気が揺らいでいる。

 

銀色のドアノブをがちゃがちゃとひねる。しかしドアはびくともしない。去り際に、部屋に閉じ込めるようなにか細工をしたようだ。

 

「………くそっ」

 

僕は、ただ静かに待っているしかなかった。だんっと壁を殴ってみる。しかし、白い壁はびくともせずに、無神経にそこにたたずんでいる。

 

30分くらいたった後、ふ、と気配が消えた。

 

世界が正常に戻った。

 

と同時に、カタリ、とドアが開く。

 

「………一体何が……!?アランカルなのか!?」

 

「……雨竜。お前は大丈夫みたいだな。」

 

 

「竜弦!!一体何が!!」僕は、懸命に訴えた。

 

「大丈夫だ。黒崎一心と浦原喜助がなんとかした。」

 

「……そうなのか。」

 

「わかったら、もう寝ろ。」

 

そう言い終わると、勢いよくドアを閉める。

 

━━━黒崎に聞いてみるか??いや、霊圧は普通だ。その時、一人霊圧が足りない

事に気付いた。

 

 

それは、朽木ルキアの霊圧だった。

フォームの始まり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき。

石田くん視点の話でした。お酒のみながら書いてます〜〜。

普段から携帯にちょこちょこ書いているんですがね。

ブリチはみんながいて一つの物語って気がするんで、いろんな人視点で。

それに、他人から見た一護とルキアって、可愛くないですか?

20070713フォームの終わり

 

 MAIN DAIARY BBS MAIL LINK TOP