どうしよう・・・。でもなんか不安だし、うん。聞いてみよう。
あたしが黒崎くんの家のチャイムを鳴らそうとした瞬間、大きなわめき声が中から聞こえてきた。
「だ〜〜〜からこんなもん飾るなって!!」
「いいではないか!可愛いのだから!!」
・・・?女の子の声・・?
「では私は出掛けてくる!!」
「おう!!さっさといって来い!」
そんな声が聞こえた後、勢いよくドアだ開いた。
「きゃあ!!」
あたしは上手くよけきれずに、ドアは私の額を直撃した。
「あ・・・すみません!!大丈夫ですか!?」
「えへへ〜〜大丈夫だよ。」
あたしドジだからと言いかけた瞬間、そのこを見てドキリとした。
懐かしい赤いリボン、灰色のスカート。空座高校の制服。自分も昔着ていたあの制服だ。
「おい!!一護!!客人だ!」
彼女は威勢良く室内に呼びかけた。
「はいはい〜〜ったく。」
中からは黒崎くんが気だるそうな顔をしてでてきた。まだ起きたばかりなのか、スウェットを着ている。
「お、なんだ井上か」
「あ、ごめん今日休診日かぁ!!起こしちゃった?」
「いや、大丈夫だけど」
彼は頭をわしわしかきながら答えた。
「先ほどは失礼しました。大丈夫ならいいのですが・・・。」
小さな少女はあたしの額が心配になったらしく、再度謝罪してきた。
「大丈夫!!もう行かないと、遅刻しちゃうんじゃない?」
「そうですわ!!しつれいします!!」
彼女はその細い足を大きく踏み出して走り出した。7月の日差しに照らされた彼女の姿は眩しい。
「気をつけろよーまた転ぶなよー」
黒崎君は大きな声で彼女に呼びかける。
「たわけ!!転んだりせぬわ!!」
・・・・・なんだかずいぶん親しげだなぁ。
でもあんな年下の子に嫉妬するなんて、みっともない。あたしそう思い黒崎君の方を向いた。
「ねぇ黒崎君、あの子だあれ?」
「ん??なんか親父の知り合いの子供らしいんだけど、高校の間だけ預かる事になったんだ。」
「そうなんだ!!懐かしいね、空座高校なんだぁ」
「ほんとにな。制服まだ変わってないんだな」
そうだよねーとあたしが相槌をうっていると、黒崎君は彼女のさって行った後を見つめていた。
「なんかすごい声が聞こえてきてたけど、喧嘩してたの?」
「聞こえてたんだ!!悪ぃ、あいつさ、リビングにうさぎのぬいぐるみとか飾りやがんの。最近はあいつが調理するもんだから、台所用品も、うさぎだのなんだの沢山あってよ。」
「黒崎君のお家って、ユズちゃんやカリンちゃんがいなくなってからモノトーンだもんねぇ。でもそれって二人が帰ってきたみたいな感じじゃないの?」
「いーや、さすがにユズも高校生になったらそんなもん減ってきてたぞ」
ったく。黒崎君はめんどくさそうな顔でつぶやいた。でも言い方が全然嫌そうじゃない。
「黒崎君、面倒見がいいからパパみたいだねぇ」
あたしがケラケラ笑うと、黒崎君はカンベンしてくれよとつぶやいてうな垂れた。
「ねぇ、あの子名前はなんていうの?すっごく綺麗な子だよねぇ。細いし。そのうち彼氏とか連れてくるんじゃないの?」
「名前はルキア。」
「・・・え?」
「朽木ルキア。変わった名前だよなぁ、最初外人が来るのかと思ったぜ。」
「・・・朽木・・・ルキア・・・ちゃん・・・?」
あたしの頭がぐわんぐわん音をたてて揺れた。
クチキルキア・・・・。
どこかで聞いた事がある。わたしの細胞のひとつひとつがそう答える、
――――――――――――――知っているはずだよ、織姫。彼女は大切な存在。
―――――――――――――――知っているはずだよ、ねぇ織姫、彼女は僕らの始りの鐘。始りの糸。
―――――――――――――――――彼女は、僕らの世界を変えた人。大切な人。忘れる事なんて、できやしないんだ―――――
「そういや井上、何しにきたんだ?井上・・・・!?おい!!」
あたしは頭が真っ白になってその場にうずくまった。黒崎君は、遠い意識の中で、石田くんに電話をかけているらしい会話が聞こえた。
あたしの視界はそのままプツンと途切れた。