すぐにルキアの元へ向かおうと思っていた一護だが、ふと、悩んで立ち止まってしまった。
時間は午後11時32分。まだ、働いている人間が眠る時間じゃない。
一護はそんな自分に嫌気が差したが、ある人物のところへ向かう事にした。
そこは、白を基調にした綺麗なマンションだった。一護はチャイムをならす。
「・・・なんだい。また君か・・・。」
石田は溜息をつきながら一護を出迎えた。
「うっせぇな。入れろ」
「・・・記憶。取り戻したのかい?」
「・・・!!なんで分かるんだ!」
「君の顔を見ていればわかるよ!霊力もいつもながら垂れ流しだし。で?朽木さんのところには行かないの?」
石田は、核心的なことを聞いてきた。一護が迷っていた唯一つの理由だ。
石田はうつむく一護を見ながら、話が長くなりそうだと思い、コーヒーを入れた。
「・・・・俺、思い出した。全部。高校一年の時の記憶」
「うん」
コーヒーは白い湯気を立てて、ガラスのテーブルに置かれた。カップの色は白だ。
「だから?それでいいじゃないか。何のために色んな人が手を回して君をまた朽木さんに逢わせたと思ってるんだ!」
石田は余りにも煮え切らない一護を見て少しいらだった。
「・・・でもさ、あいつは生まれかわったんだよな?」
その言葉を聴いて石田は黙った。
「あいつは、新しいあいつなんだよな!?いままでの行動から、あいつも俺の事は覚えていない。
それを、昔の俺がひょっこりでてきて、好きなんて言っていいのか!?」
石田は、その一護の言葉を聞いて、答えられなくなってしまった。
確かにそうだ。昔は、死神だから、人間だから、と悩んでいた二人だが。今は二人とも人間だ。
だから良いじゃいかという話ではない。一護が言うとおり。ルキアは生まれ変わったのだ。
輪廻という道を正しく回って。だから、今自分たちが見ているルキアは、ルキアだけどルキアじゃない。魂葬された一つの魂に他ならない。
「・・・・あいつにはもう、新しい未来が待ってるんだ。もう。虚も何も関係の無い。幸せな明日が待っているんだ。
俺はあいつに思い出させて、それを奪う権利なんて・・・。ない。」
一護が一番気にしていたのはコレだった。戦う事。
自分の事を思い出してしまっては、虚にかかわれずにはいられないだろう。
そうすれば、彼女には危険がともなう。
一護にはそれが絶えられなかった。強気で責任感の強い彼女の事であろう。
言っても聞かずに戦うだろう。それを知っていた。だから巻き込みたくなかった。
ただ、好きだから。
********************************************************
午前0時14分。ルキアは、ふと目覚めてしまった。部屋をでて、隣の一護の部屋のドアに耳をあてるが、一護の気配はない。
まだ帰ってはきていないようだ。
・・・あやつ、まだ帰ってこぬのか。大人とは言え少し遊びすぎじゃないか!?
ルキアは心配になってきた。来ているピンクのワンピースが、暗いなかでぼぅっと見える。
一護は大人で。自分は子供だ。それは仕方ない。一護は少しも恋人やらどーやらという話はしないし、いるそぶりもない。
もしかしたら、自分に気を使っているのではないかと思った。
自分の面倒を見なければいけないと、責任を感じていると。一護なら十分ありえる。
ルキアは溜息をついた。そんな事なら、自分はここに長居するわけにはいかない。
ここにある、ワンピースだって。可愛い人形だって。すごくありがたいし、うれいし。
だけど、一護の迷惑になるわけにはいかない。好きだから。こんなにも。好きだから。
一護の部屋に勝手に足を踏み入れる。
部屋はパイプのベッドに、金属製の机が一つ。20インチほどの液晶テレビがひとつ。
床には白いカーペットが敷いてある。
一人で入るのは初めてだ。前だって、少しモノをとりにきたとかそんな理由でしか入れてはもらえなかった。
一護がここで生きていた感じが、今でも残っている。
一護のパイプベットに腰掛ける。自分が一週間にいっぺん必ず干す布団は、太陽の匂いでいっぱいだ。
「・・・一護。」
ルキアは小さな声で名前を呼んだ。
「一護。」
今度は少し、大きな声で呼ぶ。
少し泣きそうになったが、途中ですごく馬鹿らしくなった。
なにをこんなに考えているんだ。至極簡単なことなのに。だから決めた。
今は何も考えない。好きだから。
そこでルキアは考えた。
******************************************************
石田と一護の間に、長い沈黙が流れた。
一護は黙ってコーヒーを飲む。
「・・・黒崎。僕は思うんだ。今、君は言ったよな?朽木さんが思い出したらどうしようって。」
「あぁ。」
「だったら、いいんじゃないか?いわないで?」
「・・・・」
「今は、朽木さんも人間。黒崎も人間。だから、昔のことは、もうないことにして。
それで、朽木さんを好きっていうのは、おかしい事か?」
一護は黙りこくった。
「確かに断られるかもしれない。でも、賭けてみるのもいいんじゃないか?」
一護は、無言のまま、ガラステーブルに勢い良く頭をぶつけた。
ガラスはいい音をたてて、コーヒーはコップに入ったまま、ゆらりとゆれている。
「・・・黒崎!?」
「っばっかじゃねーのおれ!カッコわりぃなホント。石田、ワリ!俺、帰るわ!」
一護はまた走り出した。時刻は午前3時半を回っていた。
石田は微笑しながら送り出した。
一護は走った。息を切らしながら、ようやく自宅にたどり着いた。
「ただいま!ルキアって・・・寝てるか。こんな時間。」
一護は取り合えず着替えようと、自室へ向かう。
階段をあがたったところで、扉が開いていたのでびっくりした。
あわてて部屋に入ると、また一護は唖然とした。
ルキアが一護のベットで寝ていたのだ。最初は腰掛けていただろうが、そのまま眠くなったのだろう、そのまま横向きに倒れていた。
その余りに無防備な姿に、目のやり場に困ってしまった一護だが、とりあえず起こそうと、肩をゆさぶる。
「ルキア・・・!おい!こんなとこで寝んな!」
「・・・ん・・・。あぁ、一護か、おはよう・・・。」
ルキアは少し寝ぼけて答えた。
「おはようじゃねーつうの!」
「・・・一護。一護は結婚しないのか・・・?」
ルキアの目は半目だ。寝ぼけてるんだろうと一護は思いルキアを背中にしょった。
「かんけーねぇだろ。今運ぶから」
「・・・ん。かんけいなくなどない。」
「なんで。」
「15歳の、妻は嫌か?」
一護は、その言葉を聞いて、しばらく理解できなかった。
1、2、3、時間が流れる。
「・・・・はぁ!?」
衝撃でルキアを落としてしまった。
ルキアは、尻もちをつきながらも、笑顔でこちらを向いた。完全にはめられたのだ。
一護はその瞬間笑い出した。
自分が考えていたこと、全てが馬鹿らしくなったのだ。
なんだ。
全然、大丈夫じゃん。なんも考える必要なんてないじゃん。
好きの気持ちがあれば。
「15歳じゃあ、結婚できねーから、16歳になってからな。」
一護はいたずらに笑った。空はまだ、白み出したばかりだった。
*****************************************************************
あとがき。
おわりましたー!!な・・・長かった。コレを構想しだしたのって、確か5月くらいだったよーな・・・。
な。なげー(笑)
要するに、言いたい事はですね!一護とルキアは、両方記憶がなくなっても。惹かれあうってことです!
うわぁ〜〜〜つたわらねぇよおまえーーー!!ごめんなさーい!
またこの話については、書きたいです。きかいがあれば・・・。
ではでは、ここまでよんで下さり、ありがとうございました。
20071021
ブラウザバックでお戻りください。