藍染達の反乱を食い止めて、一月ほどたった時だった。
俺とルキアは、本当に平和に暮らしていた。
俺たちは将来の事を話し合い、ずっと一緒にいようと思っていたんだ。
そんな時。ルキアに転生命令が降りた。
人間と死神は結ばれてはならない。
そんな考えから総隊長が下した決断だった。
そして、俺たちの記憶も、消される事になってしまった。
今日はすごく晴れていた。
あたしは、黒崎君の誕生日の為にケーキを焼いた。(ちゃんとスポンジにハチミツはさんだやつ)
それを「おめでとう」って言葉と一緒に渡してきたばっかりだ。
空になったバスケットをのぞいて笑顔になる。
今年で黒崎君は32歳になった。そしてわたしも32歳。お互い大人になったなんて微塵も感じない。
高校の頃から変わることがないと思う。
――それは、私たちの関係もだった。
恋人にはなっていない。でも友人。あたしは告白もしないまま、だらだらと彼にアタックをつづけている。
―――32歳にもなって。苦笑してしまう。
でも、高校1年生の時から、私たちには共通点がある。
“雪を見ると、なにか思い出そうとする。でも、思い出せない。”
教室で雪が降った時には、二人で顔を見合わせて笑ったものだ。
なんだか切ないよね。といいながら。
でもその日はすごくよく晴れていて、空なんてピカーンって音を立てちゃうくらいきれいな青で。
雪が降るなんて、微塵も感じないのに。
雪の感じがしたんだ。
あたしは不思議に思って、その感じのする遠くのほうを見つめた。
遠くを見ると、黒髪の女の子が道路でつまずいていた。灰色のスカートをはいていた。
「あ・・・・」
大丈夫!?
そういいかけて止めた。頭のどこかで声がした。
“ダメ、声をかけたら、ダメ”
あたしはなんだか怖くなって、見てみぬふりをしてその場を走り出した。
私は、照りつける太陽にはむかうように立ち上がった。
見慣れない土地で、全く知らない人物を探すうちに、迷ってしまい。同様してつまずいて転んでしまったのだ。
「ううむ・・・このあたりの筈なのだが・・・。黒崎いちごか・・・可愛らしい名前だな。」
手の中には小さい紙に、黒埼医院の地図と、黒崎いちごという名前が記されている。
「あ・・・」
急に足に痛みを感じる。先ほど転んだ時に太ももあたりをすりむいてしまったようだ。
・・面倒だな。
そう思っていると後ろから声がした。
「おい!大丈夫か!?」
ぱっと後ろを振り向くと、オレンジ色の髪をした男が眉間にしわを寄せて立っていた。
「あ、えーー、大丈夫です。」
「大丈夫じゃねーだろうが!!ちょっと手当てしてやるから家にこいよ。」
・・・・なにを言っておるのだ?こいつは?このくらいの傷で家に来いだと・・・?
「結構ですわ。お気遣い、ありがとうございます。」
「あ〜〜おめぇ・俺があやしいと思ってんだろ!大丈夫、おめぇみてーな中坊には手ださねーよ」
・・・・・中坊・・・?
「たわけ!!」
「は?」
「わたしは中学生などではない!!そっちこそ、高校生に声をかけると怪しまれるとわきまえるべきだな。」
「あぁ!?オマエ高校生だったの!?」
くるりと彼女が前を向く。灰色のスカートに、赤いリボン。懐かしさを覚える。
「空座高校・・・?」
「そうだ。私は暇ではないんでな。失礼する。」
そう言うと、彼女は背を向けた。
「あ、っそ。」
彼女からスルリと紙切れが一枚落ちた。
「あ、なんか落としたぞ――。ん?」
「あ!!それはっ」
「俺んちじゃん。」「居候先の地図――――。」
「―――――――――え?」