「だぁ!!」
一護が騒々しく叫んだ。
「なんでオレがお前に負けなきゃなんねぇんだよ!!」
「文句をいうな!!負けてるものは仕方ないだろう。」
これで白玉おごりだな、と小さな少女はつぶやいた。
負け。
日曜の午後。別にやる事もなく、虚も出没せず、平和な日常だ。だからと言った
ら変だが、俺たちはトランプをしている。発端は、こいつがトランプを知らなく
て、俺が教えてやるはめになり、ババ抜きくらいならできるだろうと教えた。そ
したら何かかけようと言って来たので、俺は
別にこいつに買ってもらう物も思いつかず。こいつは案の定、白玉を要求してき
た。
「ほれほれ一護。負けたのだから潔く、白玉をおごるのだ。」
その小さな少女は腕を組み、ベッドの上で足を組み返して言った。
ババ抜きなんか簡単なのにしなきゃよかった。
彼女はもう出かける支度をしている。そして、駅前の新しい店がいいなどと呟く。
「なぁルキア。」
「ん?」
「本当に行くのかよ。」
「当たり前だろう?貴様約束をやぶるつもりか?」
「そんなんじゃねーけどさ……」
「だったら何なのだ。さっさと行くぞ」
凛とした声がひびく。このしかりつけるような声は、いつのまにか自分の隣に定
着した。おかしいなぁ。
もうあたりは夕方で、オレンジ色の夕日があたりで輝いていた。
━━━恋人みたい。━━━
誰かにそう言われたのを覚えている。君たちは、いつも一緒だね、と。
甘味屋に到着し、やつは白玉膳を二つ頼んだ。
「なんでふたつ?」
「よいだろう?同じものを食べて、感想を反芻するのだ。なかなか乙ではないか。」
「ふぅん。」
俺はそしらぬ顔で返事をした。でも、気づいている。ちらちらと、夕日
が光るのを見るふりをして、あいつの顔を見ている。
白玉が到着し、美味しそうにほおばる。その頬。なんて緩みきってんだよ。
それをみて緩む俺の顔の方がわからない。
無事間食し、帰りはじめる。土手沿いの道は、あたりは綺麗な橙色だ。
「綺麗だな」
「あぁ」
「この街は変わらんな。」
「そっか?だいぶ変わったぜ。向街に大きなショピングセンターができたり。商
店街がつぶれたり。」
「かわらんよ。この景色はさ。」
そういいながら、やつは夕日をたんまり体に含むように、息を吸った。
生きている。
力強くそう感じさせるよう。その凛とした姿が、やっぱり好きで、好きで仕方な
くって。ぼんやり見つめていた。
するとルキアと不意に目があってしまった。
見られた。見つめているのを、見られた。
ありえない。俺はふいっと顔をそらす。
夕焼けのなかでそいつはにたりと笑った。
してやられたり。と思う。
頬が蒸気する。
惚れたら、負け。
そんな言葉が頭に浮かぶ。
「また白玉頼むぞ、一護。」
凛としたいつもの声でやつは言った。
畜生。仕方ねぇ。
負けは、負け。だ。
あとがき
この二人だったら絶対一護が弱いと思います。
なんてったってルキアはお姉さんだし。