ゴム
 
 
 
「はい。一護のケシゴム落ちてたよ。」
 
水色が小さい消しゴムを一護に手渡した。それはよく文房具店に売ってある、青
と黒のラインの入った消しゴムだ。
 
「は??俺そんな消しゴム使ってないけど」
 
「え〜〜でも書いてあるよ”黒崎一護”って。」
 
「はぁ?!」
 
んな馬鹿な!!と一護が叫び手を見ると、確かに 黒崎一護 と書かれていた。その
文字は緑色のペンで書かれており、とても達筆だ。
 
 
……ほんとだ」
 
「一護のじゃないなら誰のなの。黒崎一護なんて名前そうそういないと思うけど。」
 
一護は不思議に思う。
 
「あ、わかったぁ」
 
水色はにこにこしながら何か思いついたように手をかざす。
 
「それ、一護の事が好きな子のやつだよきっと。」
 
「は!?」
 
「僕が聞いた事のあるおまじないで、ケシゴムに水色のペンで好きな人の名前を
書いて、使いきったら両想いになれるってのがあるんだ」
 
 
「は?!」
 
「だってそれしかないじゃん。誰だろーねー。こんなの落としちゃうおっちょこちょい乙女は」
水色がふふっと笑うと、横からケイゴがいつものハイテンションで話しにわりいる。
「どったの〜〜!!」
 
「一護の事が好きな子がいるってはなし。」
 
「ぬわぁににぃぃ!!一護には、朽木さんと井上さんがいるじゃん!!」
 
「かんけぇねぇよ」
 
「んもぅ!!一護ばっかりず〜る〜い〜」
 
……でさぁ。そのケシゴムどうすんの??一護」
 
「えっ」
 
「誰のかわかんないけど。一護がもっとくのも微妙だよねぇ。今頃本人は焦ってるはずだし。」
 
「んまぁ、教室の後ろに置いとけば??」
 
「よっし!俺、だれがとりに来るかみてよ〜っと!」
 
「なにいってんの啓吾。そっとしといてあげなよ。だからもてないんだよ」
 
水色がすたすたと去っていくと、啓吾はなみだ目になっていた。
そんな啓吾を横目に、一護はその消しゴムを教室の後ろの棚の上にコツンとおいた。
 
 
 
 
 
ない。ないないない。13番隊の館内でルキアはつぶやいた。
久しぶりにソウルソサエティに帰ってきたルキアだが、なにかを必死に探していた。
 
「どうしたんだ?ルキア。」
 
たまたま13番隊に来ていた恋次がルキアに話かける。
 
「・・・消しゴムを、なくしてしまったんだ・・。」
 
「消しゴム?あぁ、あの現世のやつか。別にこっちではつかわねぇだろ。筆で書くんだし」
 
「・・・そうなんだが。もってきたはずなんだが・・・。」
 
「っていうか消しゴムくらい買えばいいじゃないか。朽木家なんだし」
 
「・・・そうだな」
 
ルキアは一瞬落ち着いたそぶりを見せていたが、内心は相当焦っていた。
―――どうしよう。だってあの消しゴムには・・・。
 
話は三日前にもどる。黒崎家では、ユズとカリンと同じ部屋で生活していたルキアが、いつものように学校から帰宅してきた時だった。
ユズの机の上におまじないの本がのっていた。
 
「・・・なんだ?おまじない?」
 
「あ!ルキアちゃん帰ってきたんだねぇ!」
 
「・・・あ。ユズ。ただいま」
ルキアは笑顔で挨拶した。
 
「おまじないの本きになるの?それ今学校ではやってるんだぁ!」
 
「へぇ・・・」
 
ルキアはそのピンクの表紙の本を眺めた。それは手のひらより少し大きいサイズで、
可愛らしい文字でおまじないとかかれていた。
 
「ルキアちゃん、好きな人いる?」
 
「はっ!?おっおらぬ!」
 
「今ね、コレが一番はやってんの!消しゴムのおまじない!」
 
ユズはルキアの手から、するりと本をぬきとり、ぱらぱらとページをめくった。
 
「これ!消しゴムに緑のペンで好きな人の名前を書くの。それで、誰にも気付かれずに使い切ると思いが叶うんだよ!」
ユズは満面の笑みで話す。
 
「・・・へぇ。」
 
「カリンちゃんは、そんなの迷信だっていうんだけどね。」
 
ルキアはそのページをじっと見つめた。
すると、遠くからカリンの声が聞こえる。どうやら、カレーを煮込んでいる途中らしかった。
ぱたぱたとユズが去っていくと、ルキアはその雑誌を机の上に置いた。
 
好きな人がいないといえばウソになる。実際、この家に住んでいるオレンジ頭の少年のことはずっと気になっている。
しかしどちらとも、恋色沙汰には疎い方で。しかも井上が彼のことが好きというじゃないか。
人間の彼女が彼の事をすきと言うのだ。ごく自然なことだし、なにもおかしくない。だから反対する理由もどこにもない。
反対しているのは、私の奥深い感情くらいで。でもそれはギリギリの理性でつなぎとめられていた。
こんなもので願いが叶うなら。なんのことはないのに。
 
ルキアは、かばんの中から真新しい消しゴムをとりだした。
先日オレンジ頭の少年に買ってもらったばかりの消しゴムだ。
そのケースをすらりと開け、筆箱の中から4色ボールペンをとりだした。そのなかの緑色をカチリと押した。
 
黒    とまず一文字書く。
 
崎   とまた丁寧に書く。井上や、他の子と違って自分はとても達筆だと思う。それが、可愛くないと常々思っていた。
 
一   この名前は、何か一つのものを護れるようにとつけられたらしい。
 
いつの日か彼に直接聞いた。その瞳の色はとても悲しそうで、コッチまで悲しくなったのを覚えている。
きっと母親を護るつもりだったのどだろうと思った。その母親を失くした今、その名前は何を意味しているのだろう。
彼は今、何を。唯一つの何を護ろうとしているのだろう。
 

ぎゅっと  護  という文字を書き終わったところではっとした。私は何をしているんだろう・・・。こんなことしても意味ないと思っていたのに。

かぁぁと一気に顔が熱くなる。急いで消しゴムのカバーをはめた。

どうしよう。この前かってもらった消しゴムだし。きっとこの文字は消えないだろう。

カバーをしていればばれないし、そのまま使う事にした。

 

まさか二日後に失くすことになるなんて。

ルキアは心底くたびれていた。

 

その夜、ソウルソサエテェでの仕事を終え、ルキアはすぐに黒崎家に帰ってきた。

もう時刻は夜の10時を回っていたので、ルキアは慎重に歩いた。すると後ろから声がする。

 

「お前こんな時間まで何してたんでよ」

 

「いっ一護!・・・仕事に決まっておろう。私はこう見えても忙しいのだ!」

 

「ヘイヘイ。わかってますって。風呂あいたぞ」

 

いつもながら、当たり障りのない会話。そして、口げんか。変わる事のない日常。

 

いつものように風呂に入り、部屋に戻ろうとする。一護の部屋の前を通りすぎる。

もう寝ているだろうか。今日は虚も出現しなかったし、やっと彼はゆっくりと眠れるだろう。

よかったと思い、ほっと息をつく。彼に充実な高校生活を送って欲しい。それはいつも願っている事だった。

明日になったら、一番のりで学校に行こうとルキアは思った。そして消しゴムを探し出そう。

 

 

 

 

一護が目覚めると、ルキアの姿はもうなかった。またソウルソサエティに帰ったのかと思ったが、

ユズとカリンの話を聞くと、早くの制服を着てでていったらしい。またなんのために。と思ったが、

いつも突拍子のない事をやる彼女の事だからあまり気にしなかった。

また、突然いなくなるなんて事も、今では心配ない。

一護はいつものようにしたくを始めた。

 

学校に到着すると、ルキアは窓辺の自分の席で本を読んでいた。

 

「よう。お前今日はなんで早く学校にいったんだ??」

 

「べつによかろう」

 

「ふぅん。お前いつもそうだよなぁ。関係ないって。居候のくせに」

 

「っか関係ないだろう・・・」

 

「ほらまた」

 

一護も隣の席にすわり、英語のノートを開いた。

 

「今日、英語おまえあたるよ?」

 

「本当か!?」

 

「きょうは3日じゃん。おまえか俺だな」

 

「・・・一護。ノート見せろ。」

 

「はぁ!?やだよ!」

 

「見せろったっら見せろ!」

 

「い〜や〜だ!関係ないって言う人には教えてやんない」

 

一護はそっぽを向いた。ルキアが負けじと一護のノートを掴んだ。

 

「あ〜も〜うるさいなぁ!」

 

一護が手を振りかざした瞬間、小さいものがころりと落ちた。

 

「・・・??」

 

「あっそれ・・・」

 

それはルキアの消しゴムだった。

(やっと今日の早朝に見つけたばっかりなのに・・・!こやつに見られては何の意味もないではないか!)

 

「・・・。この消しゴム。」

 

「触るな!」

 

ルキアは一護の手から消しゴムを奪い取ると、そっぽを向いた。

 

(んだよこいつ・・・っていうかこの消しゴム昨日の・・・。消し具合とか一緒だし。こいつがおまじない・・・??

んなガラかってーの・・・)

 

一護はルキアの横顔を見ながら思った。その消しゴムはそそくさとピンク色の筆箱の中に収められてしまった。

ルキアの事は気になると言えば気になる。なにしろ命がけで護ったヤツだし。

大切な力をもらった恩人でもある。本人はどう思ってるかわからないが。

一度悲しそうな顔で謝られた。自分自身は力をもらって感謝しているつもりだったのだが。

しかし、確かに高校生活を奪われたことは認めざるおえない。

 

でも、そんな事を関係なく気になる存在である。

ほそっこくて、気が強くて。護るなんて言葉が似合わない人物だが。

以外と無用心で、一緒の家に住んでいるのに平気でキャミソールで家の中を歩いたりする。

無用心な。といつも思う。この感じはただ女の子の肌をどきどきしているのとは違うとも。

本当はわかっていた。だから、早く。ぬけだしたかった。

 

3時限目は体育だった。さすがにルキアも体育では消しゴムを手放すだろう。

そう思って、体育をさぼった一護は、一人教室の中にいる。

そして、ルキアの筆箱の中をあさくった。

薄いピンクの布に、濃いピンクでうさぎの模様が描いてある筆箱は、ルキアがこちらに戻ってきた

際に買ってあげた品だ。

 

「っと、あったあった。」

 

青い線と黒い線の入ったカバーのメジャーな消しゴム。

そのカバーをすらりと開ける。

やはりそこには、 黒崎一護 としっかりと書いてあった。

 

・・・・やっぱり。

水色の話によると、コレは両思いになるためのおまじないらしい。

だったら、これは、ルキアが自分の事を好きだ。という事になる。

しかし、意地っ張りな彼女のことであろう。問い詰めてもしらばっくれるに違いない。

 

さて、どうしよう。

 

一護は考えた。しかし、彼女らしくない。こんなおまじないとかいう類のもの

には頼らなそうな人格をしているのに。

しかし、この消しゴムをを勝手に見たという事がバレれば、確実に怒られるだろう。

 

どうしよう。

 

どうすれば伝わるだろう。

 

好き。とはなんか違う。もっともっと奥深いもの。

 

魂でつながっている。だからずっと一緒にいたい。

 

あいしてる。の方が近いのかもしれない。

 

あぁ。そっか。だから命がけで護ったんだ。

 

あぁ。早くぬけだしたい。

 

どうしよう?

 

 

 

一護は、その消しゴムの文字の後ろを向けた。

 

はやく気付け。馬鹿やろう。

そう一言もらし、ケースを閉める。

 

 

 

 

あたりはもう夕日がきれいに射していて。オレンジだ。

ルキアは一人でとぼとぼと土手を帰っていた。

頭にあるのは消しゴムばかりだ。

 

・・・あぁ。情けない。自分は本当に馬鹿だ。馬鹿すぎる。

好きだとわかっていて。行動しない。あの日、誓ったじゃないか。

ソウルソサエティの夕日の中で、彼に告げたときに、誓ったじゃないか。

誰にもウソをつかない。自分になろうって。

 

目の前にはきれいな川がある。

はぁとひとつ溜息をついて、鞄から筆箱を取り出す。

ピンクの筆箱の中から、消しゴムを取り出す。

また、はぁ と溜息をつく。自分の哀れな字を最後に見ておこうとケースを開いた。

 

しかし、目に飛び込んできたのは、自分の字ではなかった。

この字は知っている。何度もノートを借りたから。

 

 

書いてあった字は。

 

緑色のペンで。

 

朽木ルキア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え〜っとですね。ごめんなさい。

ベタベタでわけわかんなくて・・・。また改善するために文章を変えるとおもいます。

私はこの、友達以上恋人未満なかんじが大好きなのであります!

最後に、ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 

2007年9月25日    niki