流れ星をみた、と思ったら、ただ虫が弧を描いて飛んでいるだけだった。

なんて

むなしく、さびしい夜だろう。

 

 

 

 

 

 

 

        星。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中に寝苦しくて目が覚めた。どうにもこうにも眠れないので、外に出て空を眺

めていた。

地上の星というのは、とても見えにくい。一護は、それがここが東京だからだと

言っていた。東京は、都会だから星が見えないと。

 

「あちらでは、もっと綺麗な星が見えるのに。」一人ごちていた。

 

「なぁにやってんだオメー」

 

後ろから聞き慣れた声がする。

 

「おぉ一護。眠れなくてな、少し夜風に当たっていた」

 

「ふぅん」

 

「お前は何しにきたんだ?」

 

「まぁ俺も、似たようなもんだ。」

 

「そうか。」

私は吐息混じりに笑う。

 

一護は近くの公園まで行くと言うのでついていく事にした。

 

「ほら行くぞ」

 

ぶっきらぼうにそう言うと、スタスタと歩き出す。

そんな素っ気ない態度も、後ろ姿の広い背中も、がしがし頭をかく仕草も。

 

すごく好きだ。

 

私はぼぉっと後ろ姿を眺めながらそう思う。

 

公園は、やはり誰もいなくて、静けさがただよっていた。昼間、

子供が遊んだであろう、スコップとシャベルがそのまま砂場につきささっている。

 

ブランコにのり、二人とも無言で揺れる。

キィキィという音に占領される。

 

「なぁ」

 

「ん?」

 

「お前は、願い事ってある?」

 

「なんだいきなり、やぶからぼうに。」

 

「いいだろ、別に!」一護は少し乱暴に言う。

 

「んん〜〜別にこれと言ってだな……。大きい家に住んでるし、兄様にも良くし

てもらえるし、朽木家の食事は申し分ないし。服も有り余る程あるしなぁ。これ

以上、望む事があるだろうか。」

私がふふっと笑いながら答えると、一護はそうか、と答えた。

 

「でも、何かないのか?その……自分の希望みたいな。」

 

わたしはその言葉を聴いて目を大きく見開いた。

 

希望。若い一護らしいと思った。自分は、そんなものをもつには、少し歳をとり

すぎた。

 

「希望……か。ないわけじゃないんだがな。そんなもの、所詮私には無い物ねだ

りだ。」

 

「そんな…事ねーだろーよ。」

 

「なっそんな事あるぞ。実を言うとな、さっき流れ星をみたのだ!」

 

「ほぅ」

 

3回願い事を言うと叶うと言うだろう?だから、願おうとしたのだ。」

 

「したら、通り過ぎたってオチか?」

 

「違う……」

 

「何なんだよ」

 

「ただの虫だったのだ。」

 

「は?」

 

「遠くを、弧を描いて飛んでいた、虫だったのだ。それが流れ星に見えた。私に

は。呆れたものだな。私なんぞに、神様も、願う機会を与える暇なんかなかろう

に……。浅はかな事をした。」

 

この言葉を言い終わるか終わらないかの、その時。一護がすごい剣幕で近づいて

きた。私が座っている一歩前で立ち止まる。

 

「ど、どーしたのだ」

 

「なんで、そんな事いうんだよ。お前馬鹿なんじゃねーのかよ。」

 

「はぁ!?失敬な!!馬鹿じゃないぞ!!」

 

「馬鹿だよ。誰にだって願う権利くらいあるに決まってんだろ。願わないでどー

すんだよ、一生叶わねーぞ。」

 

「しかたあるまい。私はもう充分なのだ。」

 

「嘘だ。」

 

そう言われて、胸がちくんとした。

 

「う、嘘じゃない!!」

 

「嘘だ。」

 

「なんなのだ貴様は!!」

 

一護が私のすぐそばまで立ち寄り、その大きな手が、私の乗っているブランコの鎖を掴んだ。

公園にあるライトの逆光で顔があまり見えない。

 

 

「あー…わりぃ。ただの俺の願望。押し付けただけだ。」

一護は頭をがしがし掻きながら言った。

 

「願望?貴様の?何なのだ。一体。」

 

「聞きたい?聞きたきゃ言ってやるよ。」

 

「だから一体…」

 

「お前と一緒にいたい。」

 

私は胸がもう一回ちくりとした。目を見開いたまま一護を見る。

 

「え…」

 

「ずっとずっと一緒にいたい。ずっと一緒にいて、お前を護りたい。」

 

 

「そ……れは……」

 

「お前も……そう、思っていたら良かったって…そう思っただけ。じゃあな、お

やすみ。」

 

そう言い残すと、一護は一人帰ってゆく。私は一人取り残される。

 

そんな気持ち、だいぶ前から気づいていた。一護が私を見る目線も気づいていた

。だけど私は答えをださなかった。だって、私たちは違いすぎる。一護を幸せに

してあげる自信なんて、なかった。一護と違い、老いる事のないこの体が、うら

めしかった。

 

そう思うと、何かが弾けた。次第に目元が潤む。

 

 

「馬鹿者!!」

 

一護の動きがぴたりと止まる。

 

「何なのだ貴様は!!そんな事、わかっておったのだろう?わかっていて私にかま

をかけたのだろう?このひきょうもの!!」

 

「んなっっひきょうものはどっちだ!!お前も気づいてたんだろ?それをわかって

無視しやがって!!」

 

「違う!!違う……私は…ただ。貴様の幸せを…考えて。」

次第に涙声になる。

 

「それ、余計。」

一護は振り向かないまま、投げ捨てるようにつぶやいた。

 

「だけど、自分の……意思も捨てられなかっただけだ……ばかものぉ……」

頼んでもいないのに、涙は勝手に溢れくる。私は普段から泣いたりなんかしない

のに、悔しい。仮にも死神という職業なのに。

彼の前では私もただの女になってしまうのか。

 

「……なぁにやってんだ。馬鹿みてぇ。」

 

「馬鹿じゃない。」

 

「馬鹿だ。」

 

ただひたすらに涙はこぼれる。頬をつたい、顎からこぼれおちる。ぱたぱたとス

カートが音を立てる。

両手でそれをおおった。泣いている姿なんて見て欲しくない。こんなに目を真っ

赤にしている姿なんて、随分情けないじゃないか。

 

すると、じゃりっと音がした。

 

じゃりじゃりじゃり……

 

近づいてくる。

 

不審に思い指の隙間からのぞく。

 

一護が目の前に立っていた。あまりに近すぎて、指の隙間から見えるのは一護の

Tシャツの青だけだ。一護の指が私の頭をなでている。

 

「なくな……なくなよ。」

 

「泣かせたのは、貴様ではっないかぁっ」

 

まだ鼻がぐしぐしいう。

 

「……ごめんな。でも、好きなんだ………。好きなんだよ。」

 

 

一護は両手で私の顔をはさみ、項垂れた。

 

「私もっだっ。私も。」

涙がぽろぽろこぼれて、鼻が痛い。

 

こんなに我慢していたのに。耐えきれなかった。

 

 

彼は強く強く、私を抱きしめた。二人とも、鼻をぐしぐし言わせながら、ブラン

コに座っている私の体を、一護はぎゅっと抱き締めた。

私も、片手を一護の背中に回した。

 

 

私は目を開け、夜空を見た。秋の夜空はもう深い。

 

 

 

目をこらしたけど、やっぱり流れ星は見えなかった。

 

 

━━━━でも、見えなくてもいいと思った。━━━━

 

 

願わなくても、私の願いはちゃんとここにある。ここに、抱き締めてある。

 

 

 

もう、離したくない。そう思い、ゆっくりと手を背中に回した。

 

 

先程よりも、力強く。

 

 

 

 

 

 

 

 

星なんて、見えなくってよかったんだ。

 

 

 

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき。

初小説です。なんか色々おかしい(笑)

なんか・・・。何が書きたかったんだ私・・・。

精進します。

 

20070615

 

NIKI

 

 

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