夕日はいつみてもオレンジ色で。だから、それが当たり前なんだって思ってた。
夕日は綺麗なのが当たり前だって。
「おはよう、一護」
「おう…」
姐さんと一護はいつもぶっきらぼうに挨拶をする。同じ家に住んでいるから仕方
ないと言えば仕方ないのだが、恋人同士と言うには少し簡素化しすぎている。
「……おはよう、コン。」
こっそり姐さんは朝、俺に挨拶をする。
姐さんはソウルソサエティから帰ってきてからは、よく笑う。
よく話して、よく笑って。まるで普通の人間の女子高生みたいだ。俺は、小さな
丸い玉だけど心がキュッとしめつけられる。そんな姐さんの笑顔が大好きだから。
「一護、弁当。忘れてるぞ!じゃあなコン!大人しくしとくんだぞ。」
公式に黒崎家に住む事になった姐さんは、毎朝あわただしく、普通に玄関から学校に行く。
俺に小さくささやく言葉は、いつもそうだ。ばれぬように、大人しく。
姐さんの頼みだから、断れないけどね。
俺は綿が沢山詰まった体からため息をはく。
姐さんはいつだって綺麗だ。小さくって華奢で、色が白くて髪の毛はつやつや。
瞳はアメジストみたいに綺麗なんだ。
最近は、よく触ってくれるようになって。爪の先まで綺麗なんだって確認できた。桜貝みたいな爪をしていた。本当に綺麗。
そんな姐さんが、最近浮かない顔をしている。いつも家にいる俺にはわからなかった。きっと学校で何かあったんだろうとは予想はつく。
(ったく。一護のヤローしっかりしろよな。)
だから、気がかりだったし。丸薬として姐さんについて行く事にした。まぁまたには本来の役目も果たさないとならないし。
案の定、3限目の休み時間に虚は出現した。一護は丁度厠だったので、うまく俺とすりかわった。
まぁ、ルキアがいるから大丈夫だろ。と一護は吐き捨て、走り去った。
なんだよ、人をロクデナシみたいに。
と思いながら教室に向かっていると、後ろから声をかけられた。
「黒崎くん!!」
振り替えると、井上さんが立っていた。
「あ、えーと、井上っ!!」俺はどうしようかと迷ったが、一護のふりをした。
単純にその方がおもしろいと踏んだからだ。
「昨日のお笑いみた〜!?すっごくおもしろかったんだよ」
井上さんは満面の笑みで話す。柔らかそうなほっぺは薄くピンク色だ。
そして思った。あ、この子、一護に恋をしている。目なんてキラキラさせちゃって。
かーわいなーなんて、俺がちょっとでれっとしていると。姐さんがものすごい顔でコッチを見ていた。
━━━━━え、俺なんかした━━━??
とふと考えたけど、別になにもしてないし。井上さんが不思議がっていたので、彼女を見た。
あぁ、そうか。
姐さん、嫉妬してたんだ。井上さんは、可愛いし、巨乳だし。何より、一護の事が好きだから。
だから。
一護のばかちん。にぶちん。姐さんにあんな顔をさせるなんて、いつも綺麗で、
凛としていて、俺の女神の姐さんに。なんて顔させるんだ。本当に、本当にこの
たんぽぽ頭は。そして俺は。
始業のチャイムが鳴ったので、俺は席についた。姐さんは隣にいる。
「…む、貴様、コンだな??」
「あ、バレちゃいましたぁ??」
あははと俺はいつものように笑う。
「……まぁ、見てればわかるさ。」
そう言うと姐さんは少し安心したみたいで、教科書をひろげた。
「………ねーえさん。」
「なんだ。」
「俺、姐さんの事が一番好きなんすよ。だれよりも好きなんすよ。」
「……なんだ、いきなり」
姐さんはめんどくさそうに、答えた。ピンクのうさぎのシャープペンシルが目の
前で揺れている。これは一護が買ってやったものらしい。
「ふふ…」
俺はそんな可愛いシャーペンを使っている姐さんが可愛くて笑った。
「一護、帰ってこないな」
姐さんはガラス窓の外を見て言った。外は日照りが眩しく、体育をしている生徒が楽しそうにドッチボールをしている。
「そうっすね。ま、帰ってこなくてもいいですけどー。」
俺は机の上で頬杖をついて答えた。机の上には、黒崎一護と丁寧な字で書かれたノートが置いてある。ノートはシンプルな青色で、中身を見てみても、
とても丁寧にノートが書いてある。なんというか、一護の性格を良く現している。彼はとてもマメだから。
「……たわけた事を。」
姐さんが窓の外を見たままつぶやいた。
俺はそんな姐さんを見て思った。ああ、なんて切ない顔しちゃって。
一護、一護、一護。いつだって姐さんは一護。
だから、俺はちょっと意地悪をしてみたくなった。このふたりは思いは通じているのに、妙に切ない雰囲気をする。
俺なんて、体もないし、あんなへんてこりんな人形にはいらないと姐さんに触れ合えないっていうのに。
まぁ、単純に悔しかったってわけだ。
俺は一護の真似をして姐さんに話しかけた。
「あー井上はマジで可愛いよなぁ。」
「!!」
姐さんがコッチを見た。俺は負けじと、眉間に力一杯しわを寄せ、一護独特の、少しニヒルな笑い方をした。
「あー井上に、しとけば良かったかなぁ」
━━━━その時の姐さんの顔といったらない。最初は真っ赤になって怒ったよう
な顔をしたが、のちに、穏やかな顔に変わった。
「━━━━そうかもな。」
そう小さく呟いた声が忘れられない。ひんやりと冷たい声だった。
まずい事をしたと思い、冗談っすよ!!とおどけてみせると、少しだけ、困ったような顔をした。
綺麗なものは綺麗なまんまだと思っていた。憎しみや嫉妬なんて、しないんだって。
ただただ綺麗で、そこに立ち尽くしてるだけだと。
だから、綺麗じゃない姿をみて、愕然としたわけでもない。実際に仕掛けたのは
自分だし。ただ、姐さんを見てるとやっぱり夕日を思いだすんだ。あの切ない空気と光。
それは夕日なのに、黒や紫や赤やオレンジに変化する。
昼間の太陽みたいにギラギラはしないけど、よくみると眩しくて。でもぼんやりと辺りを明るく照らす。
ふふっと儚げに笑う姐さんみたいだ。
俺はそんな赤やオレンジや紫や黒の光を見せつけられて、それでも、それを含めても。とても綺麗だと思った。
恋は黒い光を放ってさえも美しく辺りを照らす。
あとがき。
仕事の休憩中に考え付いた話です。なんでこーわたしは切ない系な話しか思いつかないのか私は・・・・。
一護とルキアって、独特なせつなさがあるとおもうんです。コンも同じく。
コンなんて、実際だったらかなり悲しい状況だとおもいます・・・。だってぬいぐるみじゃないと好きな人と触れ合えないって・・。
一護もぴちぴち16歳にもかかわらず、世界を護るなんてたいそれた事をしなきゃいけないし。
ルキアはルキアで、死神なのに、人間の一護の事が好きだし。
好きな人は老いていくのに、自分は若いままなんて、悲しいよ・・・・。さらに織姫なんて、男子から見たらパーフェクトヒロインがライバルだし。
やっぱイチルキだいすきだ(あとがき!?)
読んでくださりありがとうございます。
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